「あなたのことはそれほど」第5話

作者もそう明言しているが、このドラマは誰かに感情移入して見るのは難しい。
どうも4人の中で一番まともに見える有島麗華の肩を持ちたくなるが、そこまで入り込めるかと言われたらそうではない。端からこの4人の行く末を見守っていたい、そんな感じのドラマである。


私は第5話をいきなり見たのだが、私は渡辺涼太が好きなキャラクターだと思った。
秒速5センチメートルを見た時も、主人公の男の子の遠野貴樹に共感していたから、きっと自分は一途が好きなんだと思う。一途という状況が好きなのだと思う。
渡辺涼太は怖いくらい一途だ。怖いくらい美都が好きで、怖いくらい美都に優しい。優しくて穏和でふわふわしてるように見えて、でも本音は何を考えてるのか分からない。だから、唐突に反撃を始めた涼太は、ただただ怖い。しかしその狂気に、不思議と魅力を感じてしまうのは何故だろう。

それは、それだけ一心に思われていることへの、または誰かのことをひたすらに想うことができることへの憧れではないか。狂ってしまうほど愛されることへの憧れではないか。


行き先も言わず美都の言うことにも耳を貸さず、どこかへ出かけてしまった涼太。美都もさすがに危機感を募らせたのではないか、自分が取り返しのつかないことをしてしまったと気付いたのではないか……と期待したが、そうでもなさそうだ。
有島光軌に友達に戻ろうと言われても友達だったことは無いと言い、あくまでも自分が中心に動いている。私は美都の気持ちは全く理解できない。自分の容姿に余程の自信があるのだろうか。“運命の恋”に振り回されて周りが見えていない彼女はただただ愚かとしか言えない。
二番目でも、「好き」で結婚したはずなのに、涼太からの愛情を受け止めない美都は薄情だと思う。彼女は何故結婚してしまったのだろうか。


美都と涼太は出会うべきではなかったのかもしれない。お互いにお互いを好きでも、幸せにはなれない組み合わせだったのだろう。